初心者必見!ボルダリングは壁を「登ってはいけない」

ボルダリングのイメージってどんなものでしょう?

スタートからゴールまで必死にホールド(カラフルな突起物)を掴み登っていく・・・

多くの方はそんなイメージがボルダリングにはあると思います。

しかし、始めたての方には特に

「登る」ではなく「重心を移動させる」

というイメージを持っていただきたいです。

ということで、

ボルダリング歴8年、ボルダリングジムのスタッフ経験もある私が、

初心者の方にぜひ押さえて頂きたい「重心移動」のポイントを解説していきます。

これを見れば、動きが見違えるほど変わり、

最初でつまずくことなく、ボルダリングをより楽しめるようになると思いますので、ぜひご覧ください!

ボルダリング全般について以下のような記事も書いています。興味のある方は是非ご覧ください!

岩は「乗りこなす」もの

皆さん「平山ユージ」という方をご存じでしょうか?

ボルダリングをある程度される方ならご存じと思いますが、

日本人初のワールドカップ総合優勝などを成し遂げた、

クライミング業界で知らぬ人はいないレジェンド的存在の方です。

50歳を超えた今も、現役バリバリのプロクライマーとして活躍されていますが、

11年前のインタビュー動画の中でこんな発言をされていました。

「僕にとってのクライミングは、岩をそのまま、あるがままを乗りこなして行く」

「登っていくというよりは、乗って行く。体が動くままに岩とたわむれる感じ」

「例えばスノーボードをしてる人とか、サーフィンをしてる人達とかの様に、岩を乗りこなす感覚」

by 平山ユージ氏

動画も参考までに載せておきます。

FREE RANGE TURKEY_dispatch #7 from Camp4 Collective on Vimeo.

ユージ氏の、力に頼らず多彩なテクニックを駆使した登りは芸術的と評されるほどで、

私も目の前でユージ氏の登りを見たことがありますが、そのあまりの美しさにため息が出るほどでした。

「乗りこなす」をかみ砕いて言うと・・・

ユージ氏が言われた、登るではなく「乗りこなす」という感覚を、私なりに一歩踏み込んで考えてみました。

ユージ氏の登りを間近で見たとき、強く感じたことが「重心移動がとてもスムーズ」であったことです。

重心移動がスムーズなため、無駄な動きがなく素早く登ることができ、それだけ腕の力の消耗を抑えられます。

ユージ氏は長年の経験により身につけられたと思いますし、素人が一朝一夕で出来る訳もないのですが、

初心者の方でも、この重心移動を意識するだけで動きが大きく変わってくるのは間違いないです。

ここからは、重心移動を意識したボルダリングの基本の登り方について解説してきます。

重心移動が最も楽な移動手段である

皆さんは普段歩く時、特に重心は意識していないですよね。

しかし歩くという行為は、「前に重心を移し、倒れこむ前に次の足を出す」ことの繰り返しで成立しています。

意識せずとも身体が自然と動いているわけです。これは言い換えると、

人体の構造的に重心移動が最も楽な移動手段と言えます。

日常生活の重心移動は2次元

重心移動が楽な移動手段と分かったところで、

いきなりですが、電車に乗り遅れそうで駅まで急いで走っている様子をイメージしてください。

駅に行くには、目の前の角を左へ曲がる必要があります。

角にさしかかると、大回りしないよう身体を少し左に傾けながら角を曲がります。

Aki
Aki

この時の重心は、前に進む方向(前後方向)と横に進む方向(左右方向)に移動させていることになりますね

また、駅に到着してから階段を登っている様子をイメージしてください。

Aki
Aki

この時の重心は、前に進む方向(前後方向)と上に登る方向(上下方向)に移動させていることになりますね

このように、私たちは日常生活で2次元(前後・左右)の重心移動を使いこなすことが出来ています。

ボルダリングの重心移動は3次元

ここでボルダリングしている時の重心移動について考えてみましょう。

壁を登るスポーツだから、重心移動は上下方向だね

Aki
Aki

ボルダリングは横に移動する動きも結構でてきます

じゃあ上下方向(登る)と左右方向(横移動)だね

Aki
Aki

重心を前(壁方向)にしておかないと、壁からはがされてしまう・・・

つまり、ボルダリングは登る(上下)と横移動(左右)と壁に身体を近づける(前後)の3次元の重心移動が出てきます。

誰かが言った「やればできる!」

最初でつまづく人と、初めてなのに意外と登れてしまう人の違いは、

これまでの人生で3次元の重心移動をやったことがあるかないかの経験値の違いだと私は考えています。

Aki
Aki

やったことない動きを「すぐにやれ」なんて言われてもできないですよね

逆に言えば、この3次元の重心移動に慣れてしまえば、出来ることが広がりますし、上達も早いと思いますよ。

3次元の重心移動はベクトルで考えると分かりやすい?

3次元って言われてもいまいちピントこない・・・

確かにその通りですよね・・・

少し理系っぽい話になってしまい申し訳ないですが、ボルダリングは、ベクトルで考えると分かりやすいです。

上の図のように、x,y,z座標をそれぞれ、横方向(x)、壁方向(y)、上方向(z)とします。

原点(座標が交わっているポイント)に今いるとして、次に掴みたいホールドが図で赤く囲っているポイント(x1,y1,z1)にあります。

ここで質問です。

Q. ホールドを掴むために最も効率的な動き方は?

答えは、ベクトルr(黒太矢印)に沿って重心を移動させる です。

なんとなくイメージついたでしょうか?

登っている時に、このベクトルrを頭に入れておくと、効率的な動き方が出来ると思います。

また、ボルダリングはルートによって壁の傾斜が異なりますが、

壁の傾斜が変わってもこのベクトルの考え方は変わらないので、ぜひ参考にしてください。

3次元の重心移動における身体の使い方のイメージ

3次元の重心移動を行うため身体全身を使うことになりますが、

ここでは分かりやすくするため、身体を下半身と上半身に分けたいと思います。

下半身・上半身を活用する割合の目安としてだいたいこれくらいのイメージになります。

3次元の重心移動における下半身・上半身活用のイメージ
  • 上方向の動き :下半身9割 +上半身1割
  • 横方向の動き :下半身8割 + 上半身2割
  • 壁方向の動き :下半身3割 + 上半身7割

分かりやすくグラフに整理しました。

3次元の重心移動における下半身・上半身活用のイメージ

上方向と横方向の動きは主に下半身の動きが重要で上半身は補助的な役割

一方、

壁方向の動き(身体を壁に引き付ける動き)は上半身が大きな役割

を担います。

「ボルダリングは下半身をうまく使う必要があるなぁ」程度に頭の片隅に置いてもらえればOKです。

簡単な重心移動の方法

具体的にどうやって重心移動をすればいいの?

思いっきり高くジャンプしたい時って、直前に足を曲げますよね?

これは、足を曲げることで重心が下がり、その反動を使って大きくジャンプしています。

ボルダリングも同じで、移動したい方向と逆向きにあえて重心を移動させ、その反動を使って移動することが可能です。

これにより、力を消費せずに重心移動が可能となります。

重心移動のコツをつかむのによい練習になると思うのぜひ試してみてください。

もう少し慣れてくれば、手の反動を上手く使えるようになります。

具体的には、次のホールドを取りに行くとき、取りに向かう方の腕をあえてホールドから離してフリーにします。

そしてその腕を振った反動を使い移動することで重心移動が可能となります。

まとめ

今回はボルダリング初心者の方に知って頂きたい「重心移動」について解説してきました。

内容をまとめると以下の通りです。

「重心移動」のポイント
  • 「登る」でなく「重心を移動させる」意識をもつ
  • 重心移動は3次元ベクトルのイメージが大切
  • 反動を使って重心移動の感覚をつかむ

これからもボルダリングをより楽しんでもらうための情報を発信していきたいと思います。

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