近年クリーンエネルギーへの需要が高まり、その一つとして風力発電が注目を浴びています。
今後の成長が期待される風力発電の関連銘柄への投資を検討する場合、
業界としてどのようなトレンドがあるかや風力発電の概要を知っておくことは重要と思います。
そこで、風力発電業界の動向を調査し、風力発電の基本的な部分を整理しました。
風力発電関連銘柄への投資を検討している方や風力発電業界に興味のある方には参考になる情報かと思いますので、ぜひご覧ください。
風力発電の数は2020年から急激に伸び始めた
出典:新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)ホームページ
このグラフは、日本の風力発電設備の設置基数と累積設備容量の推移を示したものです。
日本国内の風力発電の設置基数は2000年から急激に増加し、2016年まで増え続けていることが分かります。
バイデン政権による後押しが期待される
バイデン政権が進めようとしているクリーンエネルギー政策の中に気候変動対策があります。
バイデン氏は1月27日、気候変動対策に関する一連の大統領令に署名しました。
そこには公有地での石油や天然ガスの新たな掘削の禁止や、洋上風力発電を2030年までに倍増させることが含まれていました。
日本もバイデン政権の追い風を受け、これからますます風力発電の数が増えていくことが予想されます。
風力発電設備は大型化が進んでいる?
もう一度推移のグラフに戻りますが、グラフを見て気になった点はなかったでしょうか?
結論から言うと、設置基数の増加と累積設備容量の増加は相関関係ですが、比例関係ではありません。
どういうことかと言うと、
設置基数は2000年の約200基から2016年の約2200基と、16年間で11倍に増加しました。
一方累積設備容量は、2000年の約20万kwから2016年の約330万kwと、16年間で16倍に増加しました。
このことから、国内で風力発電の導入が本格化した2000年から風力発電設備の大型化が進んでいると言えそうです。
風力発電の概要について
簡単にいうと、風のエネルギーを電気エネルギーに変えるのが風力発電です。
水力発電や太陽光発電と同じように自然の力を利用するためクリーンエネルギーと呼ばれます。
また以下の特徴があると言われます。
陸上と洋上で発電が可能
日本では陸上風力の設置が進んでいますが、土地や道路の制約や景観や騒音等の課題があることから、
近年は大きな導入ポテンシャルを持つ洋上風力発電も検討・計画されています。
バイデン氏も、洋上風力発電に注力すると言っていますね。
経済性を確保できる可能性がある
風力発電は、大規模に発電できれば発電コストが低減し、
主力の火力発電並みとなることから、経済性も確保できる可能性があると言われます。
風力発電設備の大型化が進んだのは発電コストによるものと考えられそうです
変換効率が良い
風車の高さやブレード(羽根)によって異なるものの、
風力エネルギーを電気エネルギーに変換する際の損失が少ないことから、変換効率が高いと言われます。
と言っても下のグラフの通り、同じクリーンエネルギーである水力発電とは大きな差がありますね
参照・画像の出典:水力発電の仕組み(役割・特徴) [関西電力]
夜間も稼働できる
太陽光発電と異なり、風さえあれば夜間でも発電できます。
風力発電の世界的な動向はどうか?
国内の風力発電の動向を見ましたが、一方世界的な風力発電の市況はどうでしょうか。
2020年3月にGWEC (Global Wind Energy Council)が発表しているプレスリリースによると、
2019年時点での累計設置数の上位は、中国、米国、ドイツ、インド、スペインで合わせて世界の風力発電設備全体の72%を占めています。
日本は世界的に見れば、20位程度とまだまだこれからというところです。
これからの成長が期待される洋上風力発電
また、2019年は洋上風力発電が伸びており、現在、世界の風力発電設備全体の10%を占めています。
ちなみに洋上風力の分野では、下記の通りGWECは日本を注視していると明言しています。
- 洋上風力発電を監視する市場には、米国、中国、日本が含まれます。
引用:GWEC プレスリリース
ちなみに、洋上風車の設置の方式として海底に設置する「着床式」と海面に浮かべる「浮体式」があります。
着床式は水深50m以浅が適していると言われるのに対し、浮体式は水深の制約を受けないという利点があります。
洋上風力発電のメリットと課題
これからが注目される洋上風力発電ですが、
洋上での発電は陸上での発電と比較して、3つのメリットがあると言われます。
大海原に風車がそびえ立つのをイメージすると分かりやすいですね
洋上風力発電の課題
課題としては、陸上風力発電と比較しコストが増大する部分がある点です。
洋上風力発電の場合は、風車建設用に特殊な作業船が必要ですし、設備を維持する上で腐食対策なども必要です。
この辺のコストを下げることができれば、風力発電事業者としては競争力を発揮できると考えます。
まとめ
クリーンエネルギーとして注目される風力発電についてご紹介してきました。
仮に風力発電業界への投資を検討するなら、風力発電事業を手掛けるオーナー企業の他、
風車を作るメーカー、風車設置の建設企業または洋上風車設置船を作るメーカーが良いかと思いました。
また折を見て、風力発電にはどのような技術が用いられているか?競争力となるのは何か?など詳しく調べていければと思います。
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